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こんにちは、萩原シャッキーです。2回目となる今回はさらなる「こだわりディテール」を探すべくオフィスを飛び出し外に繰り出す事にしました。さてここは夕方の高円寺。この街には皆さんご存知の有名建築家による施設があります。JR中央線高円寺駅からほど近く、高架線路に沿って歩いて行くと異彩を放ったチョコレート色の建物が姿を現します。壁に無数に空いた丸い穴が特徴的な建築、それが「座・高円寺※1」です。照明デザインは皆さんご存知(!)の私たちLIGHTDESIGNです。

■ 床に落ちる丸い光
入口が見えてきました、さっそく中へ入りましょう。とその前に…入口の床に何かあります!
「この丸い光は何だろう?」
よく見ると入口のみならずエントランスロビーの床にまで大小の丸い光が広がっています。このエッジの効き方はただものではない(・・・気がします)!
「この丸模様の光はどういう意味?どうやってくっきりとしたエッジを作っているの??」
見る人によっていろいろな解釈があるとは思いますが、作り手は何を意図しているのか、本当の所はどうなの?という事で調査開始!真相をLIGHTDESIGNの担当者にさっそく聞いてみたいと思います。
■ 照明について
事務所内の担当者(写真右)への聞き込み調査の結果、丸い光のコンセプトは「2つ」ある事が判明しました。
その1. この建築の開口に用いられている丸い穴が光にも影響して木洩れ日のように繋がっていくイメージにしたかった。
木洩れ日とは(驚)!なるほど、確かに床に落ちる丸い光は、壁にあいた無数の丸い窓から差し込んだ光が床に映し出されているように感じます。大きさの異なる丸い光が重なり合う様子は、枝葉の間から差し込んだ日光が作り出す複雑な影を彷彿とさせます。実に演劇的!!
その2.「座・高円寺」が演劇主体の劇場という事から、劇場のステージにスポットライトが当たっているような効果を出したかった
舞台上ではよく見かけるくっきりとしたスポットライトの光を建築照明に取り入れていたんですね。いわば舞台という非日常の光を劇場の入口にも持ってきたのでしょうか。実はここに来た時から、ワクワクと高揚していたのはこの光の効果だったのかも!
■ 丸い光のつくり方
さて次に進みましょう。通常ダウンライトやスポットライトから出た光は床に丸い光を映しますが、それはぼんやりとした輪郭がほとんどです。こんなにくっきりとした存在感のある光の「丸」は建築空間であまり見かけません。このくっきりとした丸い光はどのように作られたのでしょうか?
担当者:「ズバリ!プロジェクタースポットを使っているのだ」
なるほど!プロジェクタースポットとは像を結ぶ光を作りだす装置で、焦点の合わせ方次第で、エッジをくっきりとさせる事も、ぼんやりさせる事も出来る照明器具。特徴的なくっきりとした丸い光はこの器具によって作られていたのです。天井に見えるダウンライトはプロジェクタースポットだったわけですねぇ!(写真参照)

■ こだわりディテールの核心にせまる!
しかしまだまだ疑問は残ります。床面と天井を見比べてみると・・・。
「あれっ!?なんだか違和感感じるなぁ。何でだろう・・・。床にはたくさんの丸い光が落ちているのに天井には数えるほどしか開口がない・・・そうか分かった!天井のダウンライトの数に比べて圧倒的に床の丸い光の数が多いんだ!!」
普通なら床の丸い光と同じ数のダウンライトが天井にもあるはずです。これはどうやらプロジェクタースポットによる輪郭のはっきりした光だけじゃないぞ。何やら匂いますね〜。この不思議な光にこそ重要なディテールが隠れていそうです!いったいどういう仕掛けになっているのでしょうか?
■ ゴボの登場
実は「ゴボ※2」に秘密があったのです。ゴボとは、プロジェクタースポットに装着して様々な模様や文字を投影する為の「板」の事。つまり床に現れた丸い光はゴボで作られた模様だったのです。ちなみに1つの光源からゴボを通して8つの光が出ています。目を凝らして見てみると8つの光のパターンが見えてくるかもしれません。

床面の光を効果的に見せるために、あえて天井の開口を少なくする。そのために必要だったのが、プロジェクタースポットとゴボだったという訳です。まさに「能ある鷹は爪を隠す」!これぞ光が主演となる劇場空間の為に考えこまれたこだわりポイントだったのです。 主人公は光で器具は脇役。「仕掛けを見せない」建築照明デザインの極意を見せつけられたような気がしました〜!
1つの穴から沢山の丸い光が出て来るプロジェクタースポット、なんだかシャボン玉みたいでフワフワとした空間だなぁ、なんて楽しい気持ちで建物から出たらすっかり夜。今回のこだわりディテールをしっかりメモして、高円寺を後にしたのでした。(気付けば今回エントランスロビーしか見ていなかった・・・)
■ おまけ:いくつあるでしょう?
突然ですが、ここでクイズです!今回ご紹介した「座・高円寺」のエントランス部分の床には丸い光がいくつあるでしょうか?これを知っているあなたはかなりのマニアです!(下の行をマウスで選択すると答えが分かります!)。
正解は152個。(入口とエントランスロビーのみならず、実は搬入口にも丸い光が隠れています。これを見つけるのは難しいかもしれません)
合計19台の器具によって床の丸模様が構成されています。
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