Vol.148│闇の質を考える

環境によって左右される光の空間
投稿日:2018,12,10

ある編集者の体験

先日、とても興味深いコラムを読みました。それは東京から北海道に移住した編集者の方が書かれたもので、2018年9月6日に発生した北海道地震による道内大停電についての考察でした。(実際のコラムはこちら

彼女は2011年の東日本大震災も東京で被災していたので、これら二つの地震の様子を比較して書いていました。その中で北海道の夜と東京の夜の違いを下のように綴っていました。

「普段から夜になると街灯がまばらで、暗く静まり返っている美流渡での停電は、東京で体験した“真っ暗闇”とは違い、星のきらめく“明かるさ”すら感じられるものだった。暗闇とは、光が強ければ強いほど、その落差によって生じるものなのだ。」

都市と田舎の環境を比べたら、明るさ・暗さが違って感じた・・・、それは色んな要素が原因して起きているごく当たり前のことなのかもしれませんが、照明の専門家としてはもう少し深く掘り下げて考えてみたいと思いました。

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Vol.147│イライラと照明

光が貴方をイライラさせる?
投稿日:2018,11,16
photo by Nik Shuliahin on Unsplash

照明の在り方

このところの私は照明デザイナーとして、“癒しの照明”を得意としているらしいのです。・・・“いるらしい”といったのは、取材でそのようなテーマ設定がなされている場所に招かれることが多いために、第三者の視点にそのように映っているのかなと、単純に感じているわけです。

さて、前置きはいいとして、癒しとは逆に世の中には人をイライラさせるような照明の存在もあります。癒しの照明の裏側にある「イライラ照明」はこれまでほとんど語られることはありませんが、良い照明、快適なあかりを考える上で、一度ダメな照明・・・、イライラと照明について考察してみました。なぜかイライラすることが多いけど、原因が明確に分からない・・・というあなた、もしかしたら、その空間を取り巻くイライラ照明が大きな原因かもしれませんよ。

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Vol.146│メモと照明デザインと私

照明デザイナーが記すのは・・・
投稿日:2018,10,12
photo by LIGHTDESIGN INC.

仕事で何をメモるか?

最近聞いた話によると、欧米のビジネスシーンでは仕事においてジャーナル、つまり日誌をつけることが奨められているそうです。それは上司への報告といった業務日報のようなものではなく、自分のキャリアゴールを見据えて自身の主観的な思いなどを記すということらしいのですが、確かに以前一緒に仕事をした海外のビジネスパーソンが会議中あるいは会議の直後に黙々とノートに何かを書き綴っているのを見たことがあり、一体何を書いているの?と聞いてみたことがあります。

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Vol.145│ナイトライフエコノミーを考える

夜の消費を復活させるには?
投稿日:2018,09,10
photo by Thomas Ribaud on Unsplash

長年考えていたこと

最近、私の事務所のある銀座を歩いていると、世界各地からの旅行者とすれ違う頻度が極端にふえてきました。数年前までは圧倒的に中国からの観光客が多かったのですが、このところは世界各地からの多彩な旅行者で溢れています。実は、私の事務所が入っているビルの1階には外国人旅行者に人気のバーがあるのですが、夜になると毎日満席の状態が続いています。

このように日本は海外からの旅行者が増え、観光客到着数の世界ランキングでも上位にあがってきている一方、消費金額は世界50位前後と低いのだそうです。それを改善する策として最近注目されているのが、ナイトタイムエコノミーと呼ばれる「夜遊び経済」だというのです。

欧米ではミュージカルや音楽ライブ、ダンスクラブなど、大人が深夜まで楽しめる文化が根付いているのに対し、日本は夜に遊べるところが少なくてつまらないという声、それ故か外国人も気軽に立ち寄れるような数少ないバーが大混雑しているという現象が続いているのです。

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Vol.144|水と照明

人のこころを捉える光
投稿日:2018,08,24
photo by Art4TheGlryOfGod by Sharon

厳しい残暑も

今年は近年にない暑さが続きましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。お盆を過ぎて少しは暑さも和らぎ、秋の気配も漂ってきましたが、依然残暑が厳しいですね。こう暑いと、何か涼しく感じるような工夫をしている方も多いのではないでしょうか。照明を使った工夫と言えば、色温度の高い青白い光源に交換してクールな空間を作るというのがありますが、今回はさらに人のココロに働きかけるような照明ワザのひとつをご紹介しようと考えております。それは、照明と“水”をかけ合わせることなのです。

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Vol.143|夜の森を視る照明

光を使って自分を魅せる時代
投稿日:2018,08,06
photo by AKITO GOTO

北海道の大自然を望む宿

2018年年6月1日に、3年前から取り組んでいたプロジェクトのひとつ、旅館「奥定山渓温泉 佳松御苑」がオープンいたしました。ここは北海道・札幌市の郊外にある支笏洞爺(しこつとうや)国立公園という広大な自然の中に以前からあった小さな温泉宿を建て替えたプロジェクトでした。

この宿の面白みは敷地が国立公園の中にあり、客室の窓から北海道の大自然が見えることなのです。すべての部屋のリビングやベッドルーム、浴室は森に開かれています。この壮大な大自然に抱かれるようにゆったりと過ごす時間がこの宿の醍醐味です。ここで照明デザイナーに期待されたことは一体何だったのでしょうか?

それは、何とかしてこの素晴らしい森の気配を、闇への惧れを払拭しながら、夜にも感じてもらいたいというものでした。しかし、それには解決しなければいけない大きな問題があったのです。

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Vol.142|恋する照明学

光を使って自分を魅せる時代
投稿日:2018,07,06
photo by henry…

みなさん、恋していますか?

「恋」というと、どんなイメージを抱きますか? 一般には、他者への募る恋心を思い浮かべますよね・・・例えば、女性なら恋をすることで綺麗になった・・・なんてね! しかし、最近はこれがちょっと変わってきているようなのです。いまどきは、恋は自分にするものなのだそうです!?? そう、街に出れば、カフェで、広場で、バス停で、あるいは海で、夜景スポットで、みんなが夢中になっているのはセルフィー、つまりスマートフォンでの自撮りです。それはいかに自分を可愛く、かっこよく見せるか、そして素敵に生きているかをスマートフォンのディスプレイ越しに確認し、それをイイ感じに加工してSNSにアップする・・・、自己満足かもしれませんが、まさにそんな“自分に恋する”時代なのではないかとおっしゃる方がいます。

今回のテーマは、そんな自分に恋するみなさまに贈る、光や照明の取り扱い方を書いてみたいと思います。

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Vol.141|照明のインフルエンサー?

プロの言葉よりも人に響く!
投稿日:2018,06.12
photo by LIGHTDESIGN INC.

インフルエンサーとは?

最近、“インフルエンサー”という言葉をよく耳にします。私は(恥ずかしながら)つい最近まで流行性感冒“インフルエンザ”のことだと思っておりました(笑)。英語のインフリューエンスInfluence=影響が語源なので、まあ間違えではないですが(汗)・・・インフルエンサーというのは影響を与える人ということになるようです。そういえば、人気アイドルグループの歌のタイトルになったりしていましたね!

この言葉、昔で言う、カリスマのことかな?と考えましたが、今の時代だと影響を与える人というのが、ブロガーやユーチューバーといった一般の人たちのようですから、昔のカリスマ性のあるスターとは、少し違うのかもしれません。そこで今回は私が最近感じたインフルエンサーな人についてお話ししたいと思います。

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。




Vol.141
Vol.141 照明のインフルエンサー?

Vol.142
Vol.142 恋する照明学

Vol.143
Vol.143 夜の森を視る照明

Vol.144
Vol.144 水と照明

Vol.145
Vol.145 ナイトライフエコノミーを考える

Vol.146
Vol.146 メモと照明デザインと私

Vol.147
Vol.147 イライラと照明

Vol.148
Vol.148 闇の質を考える


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