15年後のビジョン
私たちの携わっている建築照明の仕事は、プロジェクトが開始してから竣工するまでに4~5年の月日が流れます。ということは、今年始まったプロジェクトが完成するのは、2020年になるという計算です。2020年は、東京でオリンピックが開催されることになっていますから、どうせつくるのならそれまでに完成させたい!と考える事業者の方も多いかもしれません。こんな計算をしてみると、2020年というのは未来というよりプロジェクトが完成する「少し先」といった感覚が近いかもしれませんね。
そこで、もうちょっと先の未来を考えてみようとなると、2030年、あるいは2050年などといった表現になってまいります。実際、本屋さんなどで並べられている中長期的なビジョンをテーマにした書籍は、この2030年や2050年というタイトルがつけられているものが多いようです。ちょうど、私も先日、『オフィスビル2030―近未来‐オフィスビルは必要か?(オフィスビルディング研究所・著)』を読む機会がありました。なかなか興味深い内容でしたので、今回はこの本のご紹介と共に、2030年のオフィス照明を考えてみたいと思います。
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投稿日:2015,02,26
photo by 公式サイト (写真は2013年開催時の様子)
照明の見本市
来週は3月3日(火)~3月6日(金)の4日間に渡り、東京ビッグサイトにて「ライティング・フェア2015」が開催されます。今回は昨年に設立された一般社団法人日本国際照明デザイナーズ協会(IALD Japan)も「企画協力」のクレジットを頂き、全面協力の体制で臨んでいます。
会場では照明メーカーの新商品や技術を紹介するだけでなく、照明の使い方や楽しみ方、具体的な事例の提示など、ソフトウェアとしての照明を見ることができる展示会となっています。また、生活に密着した照明の話題や、映画やアートにまつわる照明デザイナーのトークショーがあるなど、今までにも増してワクワクするイベントに仕上げています。さて、今日はそのイベントの案内と見どころをご紹介することといたしましょう。
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投稿日:2015,02,12
photo by lasta29
気になるニュース
私の週末の楽しみのひとつにホームセンターに出かけて時間を費やすというのがあります。仕事とは関係なく、何か面白いモノ、わくわくする商品が発売されていないかとチェックする楽しみを求めて出かけてゆくのですが、やはり電気部品や照明器具のコーナーでは念入りに商品をチェックしてしまいます。
最近、その照明コーナーで顕著な変化が起きています。それは、白熱電球の取り扱いが極端に減っているということです。白熱電球ばかりではありません。コンパクト蛍光ランプもかなり少なくなってきています。その代わりに増えてきているのは、いうまでもありません、そう、LED電球なのです。よーく見ると、価格もかなり安くなってまいりました。安いものだと一個700円くらいで購入できるのです。「電気代は、白熱電球の6分の1」なんて言うキャッチフレーズが書いてあると、もはや白熱電球を購入しようという動機を持った人でも「そろそろ家もLEDにしようか!」何ていうことが多くなるのも頷けます。
街を歩けば、LEDイルミネーションが輝き、家に帰れば電球色LED電球が食卓を照らす・・・、そんなLED旋風が巻き起こっています。しかし、そんな中、ちょっと気になるニュースを目にいたしました。それは、神戸で行われているライティングイベント「神戸ルミナリエ」に関するものでした。
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プレゼンテーションは大舞台
こんにちは、東海林弘靖です。2015年も早いことでもう一月が過ぎようとしています。これから寒さが厳しくなる季節、温かくして元気にまいりましょう! さて、今回のテーマは、プレゼンテーションです。長いこと仕事をしていると、大成功したプレゼンテーションがあれば、逆にあれれ・・・どうしてこんな展開になってしまったのか?と冷や汗をかいてしまうこともありました。
私たちデザイナーにとってプレゼンテーションは、デザインの方向性を決定するとても重要な大舞台のようなものです。では、そのプレゼンテーションで成功するためには何が必要なのでしょうか? それはプロジェクトの背景を十分に理解し、プレゼンテーションを受けるサイドの心を読むことが大事です・・・というのが、これまで私が就いた上司にあたるデザイナーの方々が異口同音に唱えた言葉です。そして、そんな環境で育った私は、それに加えて重要なポイントを次のように考えているのです。それは、「仕込みこそプレゼンテーションの肝」というセンテンスなのです。
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投稿日:2015,01,15
影を生まない光 -「イタリアと日本・生活のデザイン展」2001年開催より photo by Toshio Kaneko
光とは・・・
明けましておめでとうございます。東海林弘靖です。光のソムリエ・プルミエールでは、今年も人生を楽しく豊かにする光や照明をさまざまな切り口から追求してまいりますので、ぜひお付き合いいただければ幸いでございます。
さて早速ですが、この新春より私が気になっている光のお話をさせていただきましょう。おっと、光の話と申しましたが、実は気になっているのは、「陰影」なのであります。照明デザイナーは、一般的に光を生み出す職業、暗いところあればそこに光を与え、不安や不具合の無いようにするのが仕事と考えられています。
しかし、光あるところには必ず影があるのも真実です。これまでにも、影に着目することが、光を理解するには良いアプローチだと言う先人も多くいたものですが、私が考えている影の世界は、村上春樹の小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を思い起こさせます。
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投稿日:2014,12,25
上海にて、もうひとつのミッション
前回は私が照明デザインを担当したザハ・ハディド建築の確認のために、上海を訪れていたことをお話させていただきましたが、私には現場を確認する以外にもう一つ大切な仕事がありました。それは完成した照明デザインをしっかりと記録するために写真に収めるというものでした。この作業はそのほとんどを照明デザイナー自身が行うのが基本なのです。なぜなら、デザインの仕事は、「初めてその内容を聞いてスケッチを始めることから、現場を監理して最後に自らがその写真を撮影することで完了するべし」と教えられてきたからなのです。
しかし、たくさんのプロジェクトの中には、プロの写真を必要とする場合もあります。たとえば、そのプロジェクトを雑誌や本に掲載するような時にはクオリティーの高い写真が求められます。最近は、カメラがデジタル化して機材も高品質な写真を撮れるものが比較的安価に手に入るようになったのですが、やはりプロの腕は全く違います。空気感といいますか、間というのでしょうか? とにかく出来栄えは、それは、それは異なるのでございます・・・。今回はそんな建築照明の写真撮影を長年に渡って手掛けていらっしゃるカメラマンの方にご同行いただいての撮影の旅となったのです。
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投稿日:2014,12,11
凌空SOHO(上海) photo by Toshio Kaneko
上海、そして東京にて
11月下旬、私は上海を訪れておりました。目的は私が照明デザインを担当させて頂いた、とあるプロジェクトの最終確認を行い、写真を撮影するためのものでした。そのプロジェクトは、現代の建築業界の中ではかなり前衛的な存在として知られているバグダッド生まれのイギリス人女性建築家、ザハ・ハディド氏が設計した巨大オフィス建築です。写真からもわかるように、曲線や曲面をふんだんに使った未来的なデザインが特徴です。どう見ても周囲の建築とは一線を画しているアイコニックなこの建築には、賛否両論あるところですが、建築好きな方々にとって一度は「ザハ体験してみたい」と思わせるには十分な面白みと深みをもったものだと思います。
実は26年ほど前、私はこのザハ・ハディドさんに東京でお目にかかったことがありました。そんな縁があったことから、今、中国で建設されている彼女のプロジェクに照明デザイナーとして参画させていただいているのです。折しもちょうど今、東京オペラシティ・アートギャラリーでは12月23日まで、「ザハ・ハディド展」が開催されております。日本ではザハ・ハディドさん設計の新国立競技場建設も徐々に進行しています。そこで、今回はこのザハ・ハディドさんについてお話したいと思います。
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投稿日:2014,11,27
画像出典:公式サイト
照明関係者必見の展覧会
いま東京では、照明のプロのみならず、照明好きには必見の展覧会が開催されています。その名もズバリ、「ヒカリ展」です! 開催されているのは、上野の国立科学博物館で、来年の2月22日までです。私は先月末の内覧会で、いち早くその展示を堪能させていただいたのですが、予想どおりにとても興味深い内容でした。これは、博物館が本腰を入れての“ヒカリ”の企画展なのです。面白くないはずはありません。今回は、この「ヒカリ展」の模様をレポートしてまいりましょう。
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投稿日:2014,11,13
11月になると…
早いもので今年も11月を迎えました。先日届いた葉書に、何と無くソワソワした気分になったものです。それは、今年の酉の市の開催を告知するものでした。この時節、ライトデザインでは熊手を求めに酉の市を訪れるのが恒例行事となっているのです。
酉の市は例年11月の「酉の日」に行われるイベントで、関東地方に多く所在する鷲神社(おおとりじんじゃ)をはじめ、日本各地の神社で行われているようです。5年前に仕事をご一緒した方から、「東海林さん、酉の市には行かないですか?良かったら一緒に行きましょう!」と誘われ、それ以降、毎年11月になると酉の市を訪れるようになりました。
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秋眠、暁を覚えず
10月も半ばを過ぎ、ここ東京も秋の深まりを感じるようになってまいりました。秋の始まりの季節には、夜風が気持ちいいので夜眠る時、少しだけ窓を開け、柔らかな風を感じて眠りについていたものですが、この季節になると、明け方冷えた風が寝顔をよぎって、冷え込んだ秋風を感じてしまいます。
そして、もう少しすると、さらに気温が下がってくるので、朝ベッドからなかなか出ることができなくなります。 “春眠暁を覚えず”とは、春の暖かさが心地よくて朝が来たことに気が付かず寝過ごしてしまうという故事ですが、秋もまた寒さで寝過ごしやすい季節なのかもしれません。さて、今回は、このベッドのお話、いや睡眠をテーマにブログを綴ってみたいと思います。
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