Vol.20│照明はアジアから

オリエンタルな共通認識

photo by charles chan
投稿日:2013,1,24

 

今年の照明業界は・・・

前回、このブログでは北京での仕事をご紹介させていただきましたが、中国や台湾などでの仕事が増えてきたのは3、4年前からでしょうか。最初は慣れなかった日本以外で仕事をすることも、最近は少しずつ勝手がわかるようになってまいりました。

アジア圏で仕事が次第に増えてきたという傾向は、実は私に限ったことではありません。日本の照明デザイナーすべてに当てはまることのようです。また、中国や韓国にもたくさんの照明デザイナーがいらっしゃって、彼らは、逆に日本の照明デザインに大いに関心を寄せているようです。そして気が付けば、アジアの照明デザイナー同士との交流や連携も少しずつ増えてきています。

今回は、そんなアジアのなかでの日本の照明デザインについてお話しをさせていただきましょう!

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Vol.19│「伝説の建築家」との仕事

宇宙船のようなフシギな建築ができました

photo by Toshio Kaneko
投稿日:2013,1,10

 

ザハ・ハディドさんをご存知ですか?

明けましておめでとうございます。
本年もこのブログ「光のソムリエ・プルミエール」をパワフルに書いてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて新年最初のお話は、昨年12月に北京に完成した複合施設「Galaxy SOHO」のことにいたしましょう。まずは写真をじっくりとご覧ください。この軟体動物のようなフシギな建築を設計したのは、ザハ・ハディドさん(62歳)というイラク出身、イギリス在住の女性建築家です。

建築を見てもわかるようにダイナミックな流線を描いた設計が特徴で、見た目にも圧倒されてしまいます。彼女の建築は現在世界中でいくつもプロジェクトが進行中で、私たちの身近なところでは建設を予定している東京・新宿区の新国立競技場が彼女のデザインに決まっています。しかし、十数年前までは彼女は「伝説の建築家」とか、「アンビルトの女王」なんて呼ばれた人物だったのです。

昨年はそんな伝説の人物の建築「Galaxy SOHO」の照明デザインを光栄にも手がけさせていたわけですが、ともすると周りの人からは「なんでそんな大きくて、面白そうな、あんなスゴイ人の仕事をすることになったの?」とよく聞かれます。それはワタシがスゴイから!・・・ではなく、24年ほど前のあるご縁から始まったものだったのです。


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Vol.18│“照明デザイナーのミッション“とは・・・?

自由な表現の場に職業の違いが見える

投稿日:2012,12,20

 

楽しいイベントに招かれて

今年も残すところ、あとわずかとなりました。「師走」と呼ばれるこの季節は、僧侶でなくとも、何やら慌ただしく時を過ごしてしまいそうです。しかし、できればこの季節に、改めて自分の仕事や生活を振り返ったり、見つめたりすることも重要かと思うのです。なぜなら、もうすぐ新しい年がやってくるのですから・・・。

そんなことを考える時節ですが、私は先日、彫刻家の五十嵐威暢(たけのぶ)さんからお誘いを受け、テラコッタ粘土のワークショップイベントに参加させていただきました。照明デザインとは全く異なった雰囲気の楽しいイベントだったのですが、ここで思わぬ難題と遭遇いたしました。粘土を前にして「ふーむ!」と腕組みして唸らなければならなかったテーマとは?

それは、「自分の職業とは?照明デザイナーとはどんな仕事なのか?」であったのでした。


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Vol.17│特別な夜がやってくる!

“そうだ、象の鼻パークに行こう”

photo by Toshio Kaneko
投稿日:2012,12,6

イルミネーションの季節到来

こんにちは。東海林弘靖です。今年もまたイルミネーションの季節がやって参りました。街では至る所でクリスマスの賑やかなデコレーションが施され、私たちの目を楽しませてくれます。やはり、こんな楽しい雰囲気に包まれると、年末の忙しさを忘れ、光の作り出す美しい景色をしばし堪能したくなります。

私自身は、建築照明が専門なので、クリスマスイルミネーショのデザインをすることは滅多にありません。しかし、この季節になると「そういえば・・・」と訪れたくなる場所があります。それはかつて照明デザインを担当させていただいた横浜の「象の鼻パーク」です。ここは普段も周辺の夜景を借景とした心に染み入る光の景色が見られますが、クリスマスという特別な夜には、いつもと違った素敵な光を見ることができるのです。


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Vol.16│夜時間の過ごし方

文化は夜つくられる

photo by thinkpanama
投稿日:2012,11,15

ところ変われば夜時間の過ごし方も変わる?

先日、東京から沖縄に移住した知人がこんな話をしていました。沖縄は日差しが東京よりも眩しいくらいに強く、特に夏の季節には、暑さも厳しいので日中は外出を控え、陽が落ち少し過ごしやすくなった頃になると、「さーて、今日はこれから何をしようかな」と、活動的になると言うのです。世間一般にも、“沖縄は夜型社会”と言われているようですが、それは昼間の日射量に関係しているのでないか!という持論を展開していたのです。
 
確かに私も以前沖縄を訪れた際、繁華街やショッピングモールなどに平日の午後11時過ぎにもかかわらず、カップルや子供を含む家族で賑わっているのを見たことがありました。深夜にこんなに多くの人で賑わうなんて沖縄の人たちはエネルギッシュですごいなぁと驚いたことを思い出しました。

どうして沖縄が“夜型”なのかというと、東京と違って「終電」という概念がないことや、車社会であること、さらにはタクシー料金が安いことなど・・・さまざまな要因があると思いますが、知人が主張するように、日射量の違いからその理由を探ってみるのは面白いかもしれません。


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Vol.15│照明と読書の秋

照明の“課題図書”光のソムリエおすすめ本

投稿日:2012,11,01

秋といえば・・・

こんにちは、東海林弘靖です。11月に入り、いよいよ秋も深まって参りましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

街ではデザインや音楽などのイベントが催され、文化的な香りが漂っております。また、読書の秋でもありますので、今回は「光」あるいは「照明」に関係する興味深い本をいくつかご紹介したいと思います。


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Vol.14│照らさない照明・うぬぼれ鏡

真実を映すべきか、映さざるげきか

photo by babymellowdee
投稿日:2012,10,18

女性にとって、鏡とは?

先日、鏡に対する女性の想いを垣間見る興味深いコラムを発見いたしました。それは日経MJ新聞の壇ふみさんのコラム「ありがとうございません。」に掲載されていたものでした。

コラムのタイトルは「鏡よ、鏡」。その内容は・・・とてもいい宿に泊まったにも関わらず、何となく印象が良くなかったという書き出しなのですが、その理由が「あれこれと採光の工夫がされてとてもハッキリと顔を映し出す洗面所の鏡が悪い」というのです。
 
そして、先に続く一節には興味深いキーワードが含まれていました。『その点、我が家の洗面所の鏡は「うぬぼれ鏡」である。』というのです。さて、“うぬぼれ鏡”とはいったいどんなものであったのでしょうか。

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Vol.11│照明業界に取り入れたい“ソワニエ”の目線

愛する気持ちが文化の質を向上させる


1950年の週刊朝日に掲載された松下電工、国民ソケットの広告(画像引用元:Wikipedia
投稿日:2012,10,04

昭和の発明が現代に活かされる

最近面白い照明パーツを入手いたしました。その名も「国民ソケット」、いや正確には「2号新国民ソケット」と申します。とにかく名前が面白いと思います。「国民ソケット」というかなり振りかぶったネーミングは、この商品が開発された昭和初期を彷彿とさせるし、さらに「2号」と表記されているところをみると「1号」や「3号」もあるのだろうなぁ・・・?と一連のシリーズからなる商品群であることが分かります。さらに「新」と言っているからにはこれが開発されたのちに更なる改良が施されていることが伝わってきます。
 
とまぁ、名前だけでも想像力を刺激されるのですが、上記の広告写真をご覧ください。何か懐かしいと思われるのは私と同じ世代か、それ以上の齢を重ねられた紳士淑女の皆様でしょう!

この商品、確かに私の家にもついておりました。二股のソケットには大きな電球と小さな電球が付いていて、紐を引っ張るとどちらか一方が点灯するか、両方が消灯するかの動作を行っていました。夜になると紐を引っ張り大きな電球をつけるのですが、就寝前には小さな電球に切り替えてほんのりとした灯りの下、「弘靖くん、オヤスミ・・・」みたいに使っていたのです。ほんとに懐かしいです。
 
しかし、みなさん、この素晴らしい商品は昔ばなしではなく、現在でもしっかりとホームセンターなどで売られている現役なのです! とは言え、なぜ今、私がこのレトロな商品を紹介するのか?まずは心動かされたこの夏のお話をいたしましょう。

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Vol.11│照明業界に取り入れたい“ソワニエ”の目線

愛する気持ちが文化の質を向上させる

引用元:flickr
投稿日:2012.09.20

LEDに待望の機能が登場

皆様ご存じのように昨今の照明業界は空前のLEDブームに踊っています。とにかく経済性が高く新しい商品を開発し、同時に販売しなければならないのです。

かつてパソコンがブームであった頃に、「この商品が○○年秋モデルでーす!夏モデルに比べて30%速くなりました!」なんていう売り方がありましたが、今はLEDがそのような生産×販売のスピードなのです。そんな中で、最近、国内メーカーからも「おっ!いいじゃないか!」と思わせるようなLED製品が登場いたしました。
 
それはLEDの特徴を活かし、色温度と明るさを調節できるというものです。「色温度と明るさを調節」という部分だけを取り上げれば、すでにそのような製品は登場していたのですが、今回ご紹介する照明は光と人間の心理の上に発見された科学的な法則に基づいたものなのです。

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Vol.11│照明業界に取り入れたい “ソワニエ” の目線

愛する気持ちが文化の質を向上させる

引用元:flickr(外部サイトへ)
投稿日:2012.09.06

フレンチの世界で大事に扱われるべきお客様とは?

こんにちは、東海林弘靖です。最近ワイン仲間から、フランス料理の世界で使われる「ソワニエ」という言葉を初めて知りました。
 
ソワニエとはフランス語で「大切におもてなしするべき」という意味で、レストランでは最上級のお客様を指すのだそうです。最上級というと大統領やVIPという捉え方もありますが、ソワニエとは何も地位やお金を持った人々に対して使う言葉ではないようです。ワインやレストラン文化を心から愛し、そのお店の思いを素直に感じとって長所も短所もはっきりと言ってくれる、心が通じ合う安定的な顧客といったニュアンスなのかもしれません。
 
サービスする側と受け手側の知識や思いなどが、そこにある純粋な楽しみの度合いを引き上げ、その相乗効果によって食文化が築かれているということなのでしょう。作り手が一方的に「これいいでしょ!」とお仕着せするのではなく、むしろ「今回のは今一つ満足できなかったかも・・・?」みたいなコメントが寄せられるほどに作り手と受け手との極めて対等な関係があることに、心揺さぶられました。この価値観には、まさに目からウロコだったのです。
 
そして、もちろんなのですが、この考え方は是非、我らが照明の業界にも取り入れられれば!と思ったのです。

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Vol.10│魅せられたルミナーレの光

照明をワイン文化に習う

投稿日:2012.08.20

夜空を彩る灯り

皆様、お盆はいかがお過ごしでしたか? 先週、京都では五山送り火、長崎では精霊流しなど、日本の夏の風物詩ともいえる光の行事が各地で行われました。地域によっては花火大会をはじめ、提灯や灯篭をはじめとしたライトアップやサマーイルミネーションなど、街を光で彩る様々なイベントが行われたようです。光のイベントと言えば、三原色のLEDが登場したことで、気軽にきれいな光の色を演出することができるようになりました。

しかし、光というものは不思議なもので、色を使った演出を派手にやればやるほど、その演出はなぜか薄っぺらなものに見えてくるから不思議です。何だか光の神様がいらっしゃって、「もう少し光の本質に迫るような仕事をしなさいね!」といわれているようにも感じます。たしかに派手な仕掛けを使わない自然な光の現象のほうが、はるかに人の心を捉えたりするものなのです。

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。





Vol.10 魅せられたルミナーレの光


Vol.11 照明業界に取り入れたい “ソワニエ” の目線


Vol.12 明るさも、暗さも快適な光

想像力をかきたてる “国民ソケット”
Vol.13 想像力をかきたてる “国民ソケット”

Vol.14│照らさない照明・うぬぼれ鏡
Vol.14 照らさない照明・うぬぼれ鏡

Vol.15│照明と読書の秋
Vol.15 照明と読書の秋

Vol.16│夜時間の過ごし方
Vol.16 夜時間の過ごし方

Vol.17│特別な夜がやってくる!
Vol.17 特別な夜がやってくる!

Vol.18  “照明デザイナーのミッション“とは・・・?
Vol.18 “照明デザイナーのミッション“とは・・・?

Vol.18  “照明デザイナーのミッション“とは・・・?
Vol.19 「伝説の建築家」との仕事

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