夜空を彩る灯り皆様、お盆はいかがお過ごしでしたか? 先週、京都では五山送り火、長崎では精霊流しなど、日本の夏の風物詩ともいえる光の行事が各地で行われました。地域によっては花火大会をはじめ、提灯や灯篭をはじめとしたライトアップやサマーイルミネーションなど、街を光で彩る様々なイベントが行われたようです。光のイベントと言えば、三原色のLEDが登場したことで、気軽にきれいな光の色を演出することができるようになりました。 フランクフルトを代表する光の祭典さて、照明のインスタレーションの話をするときに引き合いに出したいのは、国際照明見本市「Light+Building(ライトアンドビルディング) 2012」と同時に開催される「ルミナーレ」という光のお祭りです。 これは2年に一度ドイツ・フランクフルト市を挙げて行う巨大なイベントで、開催期間中は街全体が照明一色という感じになっています。たとえば、普段何気ないオフィスビルがライトアップしていたり、デパートもカラフルな光のデコレーションが施されています。これらの光のインスタレーションは、街の中に100か所以上も点在していて、夜になるとそれらの場所を見るために無料のバスが巡回しているほど力を入れているのです。そして、これはこの期間にフランクフルトを訪れる人々の愉しみの一つとなっています。 光源はどこぞ?シンプルなからくりに感動ガイドブックを手に「えーと、この辺に学校があるはずなんだけど・・・」などと言いながら地図に記載されている「光のサイト」を探し、街を歩いていったのですが、やはり最近の傾向としてはLEDによるカラーライティング手法がたくさんありました。そんな中で、LEDを全く使っていない、とても感動的な心にしみるほど美しい光のインスタレーションに出会うことができました。それは、ある教会内で行われた光のインスタレーションだったのです。 さらに眺めていると、横からもう一つ別の光が投げかけられます。それは細い棒のような光(まるでコピー機がスキャンするかのよう)がオブジェ自体を下から上へと移動するのです。この光によってまたさらなる不思議な現象・・・それは空間がゆがんで見えるような4次元の美が生まれる作品なのですが、見とれるほどに美しく、私の心をひきつけて離さない演出でした。もう、たぶん何時間見ていても飽きないと思える光に出会ってしまったのでした。 インスタレーションを2階から見た様子。こちらに細長い光が発せられるプリズムが設置されていました。コンピュータから送られるデジタル信号によって動くLEDカラー照明よりも、光の仕込み方に工夫を凝らして、絶妙な空間の光を思慮深く演出するインスタレーションのほうがはるかに感動的だったのです。 フランクフルトのお祭りの夜、たまたま出会った光のインスタレーションは、これらのことを一瞬にして総括し、照明デザイナーとして生きる私に、更なる想像力を働かせよ!と示唆してくれたのかもしれません。 |
![]() PROFILE
|
Copyrights (C) 2012 LIGHTDESIGN INC. All Rights Reserved. |