投稿日:2014,10,09
ワイン教室での出来事
こちらのブログでも何度かお話ししていますが、私はワイン好きが高じて数年前からワインスクールに通うようになりました。そのスクールでは、幅の広い受講生に対して様々な講座が用意されています。もちろんソムリエの資格試験の対策講座がその中心にあるようなのですが、初心者向け、ワインの産地別、ワインに合うチーズ講座、はては古―いビンテージワインを味わう講座などなど、自分の目的に合ったクラスを受講することができるのです。
私は初心者向けの講座をひと通り受講した後に、資格取得講座を経て、ワインエキスパート資格を取得いたしました。ここで一つの目的を達成したのですが、その後も、趣味として楽しめる講座を・・・と思い、「シャンパーニュ講座」というのが気になり受講したことがあります。初めてクラスに行ってみると、そこにはシャンパン好きがたくさん集まっておりました。そしてその方々というのは、職業もまちまち、医者も弁護士もシェフもエンジニアも、とにかくシャンパン好きというだけで様々なジャンルの方々とお知り合いになれる、ワクワクするような講座だったのです。
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投稿日:2014,09,25
わが心の師
これまでの人生のなかで、私が師と仰ぐ先生は数知れど、強い憧れと尊敬の念を絶やすことのできない師は、この方をおいていないと思うのです。本日は私が心の師匠と仰ぐアメリカ人照明デザイナー、ポール・マランツさんのお話をさせていただきましょう。
ポール・マランツさんは、ニューヨークを拠点に世界各地でたくさんの建築家と素晴らしい光の空間を作りつづけていらっしゃいます。その代表としては、ニューヨークのタイムズスクエアの年越しカウントダウンイベントで使われる「タイムズスクエアボール」や、ワールドトレードセンターの911メモリアルパークのライティングデザインなどがあります。あるいは、東京では初台にある新国立劇場の照明があります。
実は、このプロジェクトのためにマランツさんが来日された時に、私は遠くからその様子を垣間見ておりました。当時はそんな遠い存在だったのです。それは1988年くらいのことだったと思います。
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投稿日:2014,09,11
“ブラックカーボンナノチューブ”
最近、照明デザイナーという職業上、大変気になるニュースをインターネット上で発見いたしました。それは、光を全く反射させない(光の反射率0.035%)真っ黒い物質が開発されたというのです。その名も「ブラックカーボンナノチューブ」というものです。イギリスのとある研究室で完成したという話題を知ったのです。
ちょっと考えてみましょう。私たちの身の回りにはさまざまな黒い物体を見ることができるのですが、それらは、白でもなくグレーでもなく、それらよりただ黒いだけの素材なのです。仮に「本当の黒」という色があるとしたら、それは、いつどんな時でも光を反射することはないものでしょう! つまり、私たちは日常的に“黒色”と言っているのは、白やグレーに比較して「それなりに黒い」と言っているにすぎないのです。それ故に、それらは、黒い物体としての素材感やテクスチュアなどを感じることができるのです。
しかし、物体の表面で光の反射が全くなくなるとすれば、その物体はもはや「モノ」ではなく、ただの闇、すなわち空間に開けられた穴となってしまうのです・・・。
今回はまず、その辺りから闇の話題を掘り下げてみたいと思います。
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投稿日:2014,08,28
photo by Toshio Kaneko (東海林弘靖著『デリシャスライティング』ミッドナイト・ダークライトより)
10年ぶりのご連絡から
先日、かつてムック本の「照明特集」で大変お世話になった編集の方から、一通のメールをいただきました。その内容は、今度移籍した出版社で担当している雑誌で照明のページをつくりたいので、ぜひ協力してほしい・・・とのことでした。
その編集者は、一般誌の出版に携わっていらっしゃるので、「照明」という特集を組むことなどほとんどなかったのでしょう。しかし、久しぶりに「照明」というキーワードが登場した時に、ご指名いただいたのですから、私としては大変光栄なこと、喜んでこの仕事を引き受けることにいたしました。
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初めて気づいた
「東海林さん、ガーランドライトってどう思いますか?」
私に向けられた突然の質問に思わずうろたえてしまったことがありました。照明業界に30年ほど在籍しているのに、私の頭の中には「ガーランドライト」という引き出しがなかったのです。
「それはどんなものですか?」と聞き返して、それはクリスマスの電飾コードに小さなぼんぼりが付いたようなアイテム・・・ようやくその姿がイメージできたものの、私にとっては全く関心のないものであったことに気付かされたのでした。世の中には多種多様な照明器具がありますが、私の関心を全くひかない、いわば“どうでも良い”照明器具があったとは・・・そのことに少し驚いた・・・、そんな出来事があったのです。
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夏が来れば思い出す・・・
現在、全国の小中高等学校の学生さん、大学生のみなさんは夏休み真っ只中にあることと思います。そして、大人になっても夏休みは心がワクワクし楽しい季節だと振り返ることができるでしょう。 かく言う私も、この時期に思い起こされる懐かしい風景がいくつかあります。その中でも特に思い出深いのが、大学4年生の夏に卒業研究の対象として訪れた、ある秘境の温泉で過ごした数日間です。
その場所とは群馬県にある霧積温泉で、ここは、森村誠一の小説、後に映画にもなった「野生の証明」の舞台にもなっている地なのですが、本日は世の中の暑さをしのぐために、肩の凝らない涼しげな私の思い出話を披露させていただきたいと思います。
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投稿日:2014,07,17
ラスベガスへ
先月、アメリカのラスベガスに行ってまいりました。IALD国際照明デザイナー協会のアワードディナーに出席する目的でしたが、ちょうどこの時期はアメリカ照明器具業界の見本市である「LIGHTFAIR」が開催されます。この見本市には定期的に訪れているので、つまりはラスベガスへは二年に一度くらいのペースで来ている訳なのですが、今回はラスベガスの王道観光スポットのひとつ、フリーモントストリートの照明ショーを久しぶりに見ることにしたのです。
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投稿日:2014,06,19
photo by Naroa
南半球に思いを馳せて
世の中ではサッカーのワールドカップ一色!な今日この頃、サッカーファンの方々は開催地ブラジルとの時差とも戦いながらテレビ観戦に熱くなっていることでしょう。ブラジルは日本から考えると地球の真裏で、時差だけでなく様々な条件が異なっています。そもそも南半球にあるわけですから、季節が日本とは逆で、いま冬ということになります。
それから、地球の自転の関係で水道の排水溝に流れ落ちる水のうず巻きの回転方向も日本とは逆です。そんな日本とは正反対の場所で光のことを考えてみると・・・?
実は太陽も日本がある北半球とは異なった動きを見せるのです。本日はそんな南半球の光事情を考えてみようと思います。
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投稿日:2014,06,05
画像出典:Gigazine
NASAの宇宙服
先日、ニュースWebサイトを眺めていたら、ちょっと気になる話題を見つけました。それは、アメリカのNASAが次世代宇宙服のデザインを発表したというものでした。現在、アメリカは2030年代までに火星に人を送り込むという何とも壮大な目標を掲げており、その一環として、将来、火星探査を行うときに探査隊が着用する宇宙服の開発を進めているのです。デザインは3案まで絞りこまれていたのですが、正式デザインをどれにするかを、インターネットによる一般からの投票を募って4月末に無事に決定したというものでした。
選ばれたのは上記写真の真ん中のデザインで、胸の所に水色に光る大きなY字が配されています。最終の3案に共通しているのは、デザインは違えど全て体が光るように出来ているということです。光のソムリエとしては、もちろんそこに興味をひかれた訳ですが、では何故、宇宙服が光る必要があるのか? そもそも光るもの達は何故に光るのか? 今回はそんなことを色々と考えてみようと思います。
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投稿日:2014,05,22
新しく生まれ変わった街のシンボル
東京の京王井の頭線吉祥寺駅ビルが約4年に渡る長い工事を終え、「キラリナ京王吉祥寺」として先月23日にグランドオープンいたしました。駅舎としての機能を保持しながらの工事でしたので、大掛かりな作業は終電後、始発まで・・・の作業となりそれ故かなりの長い工期となったのです。地下2階地上9階建ての同施設には30代女性をターゲットにしたファッションや雑貨のお店やフードフロアなど、吉祥寺初出店の店舗も多数揃え、オープンからたくさんの人たちで賑わっているようです。今回は照明デザインを担当させて頂いたこの施設の明かりについてお話したいと思います。
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