Vol.100|照明産業と習い事?

産業を支える大事な存在
投稿日:2016,06,10
photo by 2benny

京都のタクシー運転手さんの話

先日、京都でタクシーに乗ったときに、運転手さんからとても興味深いお話を伺いました。それは、京都に着物屋さんが多い理由を知っているかい?という質問から始まったのです。確かに京都の街並みを眺めると、きもの姿の女性を東京よりは多く見かけます。舞妓さんや芸子さんはもちろんのこと、それ以外の職業であろうと思しき方でも着物を着ている方を見ることが多いのです。さて、この答えはいったい何であったのでしょうか?

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Vol.99|「Light+Building 2016」レポート

ヨーロッパの照明市場の変化
投稿日:2016,05,27
photo by LIGHTDESIGN INC.

2年に一度の照明の祭典

今年2016年は世界の照明関係者が大変楽しみにしている催し、国際照明・建築技術専門見本市「Light+Building(ライトアンドビルディング)2016 」の開催年でした。この見本市はドイツ・フランクフルトが市を上げて盛り上がるという、2年ごとに開催される非常に大きな見本市です。最近ではフランクフルト市内だけではなく隣接する都市にも拡大した「Luminale(ルミナーレ)」という仮設の照明インスタレーションも同時に行われるため、夜になっても街は人で溢れかえっている状態です。

まさにこの期間は世界中から照明関係者が集まり、フランクフルト市付近は、お祭りのような様相を呈しているのです。光のソムリエでは2年前、そして4年前の開催の模様をお伝えしておりますが、今年ももちろん世界の照明動向調査に行ってまいりましたので、今回はその様子をリポートしたいと思います。キーワードは、“LEDファースト”!?

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Vol.98|眠る明かり

唯一無二の建築家
投稿日:2016,05,13
photo by Jon Huss

ツラい休み明け?

こんにちは、東海林弘靖です。ゴールデンウィークも終わって、皆さん仕事に打ち込んでいるといったところでしょうか? もしかしたら、休み気分が抜けずにボーっとしてしまう・ ・ ・なんて方もいらっしゃるかもしれませんね。そういえば、昔は「五月病」という言葉がありました。こ の言葉の意味するところは、4月に学校や会社など新しい環境に入ってから少し日が経った、ゴールデンウィーク明けあたりから、何だかダルさを感じた り、無気力で仕事に打ち込めなかったりという状態に陥ってしまうことを言っていました。環境に適応しようとして随分と頑張っちゃった、つまりストレスが故 の症状なのでしょう。そして、五月病を何とか改善する対処法のひとつとして良質な睡眠が注目されています。 今回は睡眠と夜間の照明の関係についてお話したいと思います。

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Vol.97|ザハ・ハディドさんを偲ぶ

唯一無二の建築家
投稿日:2016,04,28
photo by LIGHTDESIGN INC.

4月1日の出来事

あの朝、とてもショッキングなニュースが入ってきました。世界的な建築家、ザハ・ハディドさんが3月31日にお亡くなりになったというのです。日本では翌朝のニュース番組などで訃報が報じられましたが、その日は4月1日のエイプリルフールということもあって、はじめは悪い冗談ではないかと疑ったほどです。

私は、ザハさんと縁あって27年ほど前に東京で何度かお目にかかり、近年では彼女の巨大建築プロジェクト4つの照明デザインを担当させていただきました。このブログ上でも過去に2回、ザハさんについてのお話をしております。今回は、追悼の意味も込め、今一度ザハ・ハディドさんについての話をしてまいります。

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Vol.96|銀座の光の品格


街の照明コンセンサス
投稿日:2016,04,14
photo by Toshio Kaneko

銀座の新たなランドマーク

こんにちは、東海林弘靖です。今回は、去る3月31日に銀座数寄屋橋交差点角にオープンした「東急プラザ銀座」の外装照明について、お話させていただきたいと思います。この建物の設計・建設は5年の月日をかけてとても丁寧に進められていたもので、その間のプロジェクト名は、銀座の5丁目に位置することから通称G5プロジェクトと呼ばれておりました。

このブログをよく読んでいるという方はお気づきかもしれませんが、私の事務所であるLIGHTDESIGN INC.も創業以来銀座に居を置いており、G5の現場までは徒歩3分と、とても近い立地にあります。また、今まで自主的に銀座の裏路地を含めてくまなく街の調査(昼も夜も)を行ってきていますので、地元に居する視点というのを大切に考えながら進めたプロジェクトでもあったのです。

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Vol.95|二十四節気の色鉛筆

季節の色
投稿日:2016,03,24
photo by LIGHTDESIGN INC.

暦の上では・・・

こんにちは、東海林弘靖です。数日前は春分の日、ちょうどこのくらいの時期から夜よりも昼の時間が長くなって参ります。ところでこの「春分」という言葉なのですが、その昔、季節のズレを正し、季節を区分する手法のひとつとして作られた「二十四節気」で使われる言葉のひとつです。ここには24種類の季節の移り変わりを表す言葉があり、中でも3月の春分と9月の秋分は祝日になっているので日本人には慣れ親しんだ言葉です。他にも、夏至や冬至もニュースなどでよく使われ耳慣れた言葉でしょう。今回はそんな24の季節について考えてみたいと思います。

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Vol.94|照明も充電生活

ライフスタイルから始まる住宅照明
投稿日:2016,03,10
photo by oliver.dodd

2年前のブログより

このブログで以前、「アンプラングドなあかり」と題して電源コードから解放された照明について書いたことがありました。アンプラグド(unpluged)という英語は、プラグをしない、つまり電源プラグを繋いでいないという意味で、アメリカには、この言葉を題名にしたMTVの音楽番組があります。これはアコースティックギターやピアノなど、電気を必要としない楽器で演奏するスタイルのライブ番組です。エレキギターやシンセサイザーで作りこまれた音楽ではなく、あくまでシンプルで自然な音を大切に様々なアーティストがこのコンセプトのもとに音楽を披露するライブ番組なのです。

アンプラグドという「原点に立ち戻ったようなスタンス」を感じる響きに魅力を感じて、この言葉から連想するエピソードや照明器具をご紹介したのが当時のブログだったのですが、あれから2年が経ち、世の中や私たちの感覚にも変化が起きているようなので、ここで改めて同じアンプラグドというテーマで考えてみたいと思います。

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Vol.93|照明はライフスタイルで決めたい!

ライフスタイルから始まる住宅照明
投稿日:2016,02,26
photo by Dirk Dallas

ビジネスで重要視されるようになったもの

昨今、商品そのものに焦点を当てるのではなく、ライフスタイルに注目し提案するようなビジネスモデルが主流となってきているのだそうです。例えば、従来のコーヒー文化を変えたと言われているスターバックスは、コーヒーの味わいや香りの良さを宣伝するだけでなく、コーヒーを飲む快適でかっこいい空間体験をテーマにして成功をおさめたというのです。そんな“ライフスタイルを売る”ビジネスが、昨今人々の心をとらえ支持されてきているようです。

このことを照明に置き換えて考えてみると、三井不動産レジデンシャルの情報サイトで「照明がもたらす美しい時間」をテーマにスタートした光のソムリエは、まさに同じ流れにいたということになります。そこで今回は、改めてライフスタイルと照明について考えてみることにいたしました。

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Vol.92|危険な誘惑“レインボーカラー”

取り扱い注意の上級者ライティング
投稿日:2016,02,12
photo by Wan Shi

レインボーならば素敵なのか?

先日、オーストラリアにある世界最古の鍾乳洞・ジェノランケーブを見に行った方から、面白い話を聞きました。道のりが長い鍾乳洞内では見どころごとに美しくライティングされていたらしいのですが、最後の出口付近で赤やオレンジ、青、緑と、レインボーカラーのようなライティングがあり、大自然の生み出す不思議な世界を楽しんだ最後に出てくる演出は、蛇足であり、あまり良くなかったというのです。確かに世の中にはレインボーカラーでとにかくカラフルに彩った少し首をかしげてしまうような照明が多い気がします。そこで今回はレインボーカラーライティングについて考察してみることにいたしましょう。

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Vol.91|光のフィードバックデザイン

オーストリア・チロルの自然に洗われて
投稿日:2016,01,28
photo by the tartanpodcast

身の回りにあるライト

身の回りを見渡してみると、照明ではない光がずいぶんたくさんあることに気が付きます。たとえば、部屋の中には、家電製品に仕込まれた赤や緑のパイロットランプがついています。そして、それらは部屋の照明を消して人々が寝静まると、まるで「おもちゃのチャチャチャ」よろしく賑やかに煌めいてくるのです。

その中には、アップルのノートパソコンのようにスヤスヤとスリープしている気の利いた方々もいて、なんだか夜も多様な世界観を見ていることに気が付きました。これらの光たちのほとんどは、ある特定の目的があって光っているのです。そしてその目的というのが “フィードバック”です。

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。





Vol.91
Vol.91 光のフィードバックデザイン

Vol.92
Vol.92 危険な誘惑“レインボーカラー”

Vol.93
Vol.93 照明はライフスタイルで決めたい!

Vol.94
Vol.94 照明も充電生活

Vol.95
Vol.95 二十四節気の色鉛筆

Vol.96
Vol.96 銀座の光の品格

Vol.97
Vol.97 ザハ・ハディドさんをぶ

Vol.98
Vol.98 眠る明かり

Vol.99
Vol.99「Light+Building 2016」レポート

Vol.100
Vol.100 照明産業と習い事?


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