京都のタクシー運転手さんの話先日、京都でタクシーに乗ったときに、運転手さんからとても興味深いお話を伺いました。それは、京都に着物屋さんが多い理由を知っているかい?という質問から始まったのです。確かに京都の街並みを眺めると、きもの姿の女性を東京よりは多く見かけます。舞妓さんや芸子さんはもちろんのこと、それ以外の職業であろうと思しき方でも着物を着ている方を見ることが多いのです。さて、この答えはいったい何であったのでしょうか? 京都のきもの産業を支えるのは・・・そのタクシー運転手さんによると、まず京都には花街があり、舞妓さん芸子さんがたくさんいるというのがひとつ・・・と、この答えは誰でも想像がつきます。それから、もうひとつ大きな理由があるというのです。 それは、京都では着物が欠かせない習い事が多くあるからだというのです。茶道や華道、日本舞踊、唄など、日本の伝統的な教養を習う人々がたくさんいて、そのことが大いに関係があるのです。特に女性は、幼い時から美しい着物姿の女性を目にしていて、自分もそんな着物を着てみたいと願うようになるのでしょう。古い町並みが残り、寺社仏閣も含めた着物に似合う背景も整っている京都の町に、このニーズがある限り、着物屋さんはつぶれないということです。 産業構造として、そこで行われている習い事という慣習や文化が着物産業を支えているというのは、とても面白い話でした。 何が照明産業を支えるのか?さて、運転手さんにいい話が聞けたところで、早速、私はこの話にヒントを得て、照明産業はいったいどんなものに支えられ、着物屋さんのようにつぶれないものになれるのかを考察してみました。 着物の例をもう一度整理すると、たとえば茶道はお茶会や初釜などの正式な席に出席するために、着物の着用が必須となります。そしてその集まりに参加する度に着物を見る目が肥えて、より上質なものを求めるようになるのでしょう。さらに季節が変われば、その季節にあった着物も必要です。この需要に着物屋さんは応える必要があるのです。 さて、照明デザインへの置き換えは少し難しくなってきました。例えば、趣味と照明デザインという観点ですが、たとえば山登りが趣味でLEDヘッドライトがツールとして必要になるとしましょう。そして、技術が進んでより明るく夜道を照らすヘッドライトが出たとしましょう。そこで趣味としてもうひとつ購入することはあっても、季節ごとに新しいものを買いたいとは思わないでしょう。少し間接的に考える必要がありそうです・・・。 人が美しい光を求めている象の鼻パーク(横浜)
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