Vol.95|二十四節気の色鉛筆

季節の色
投稿日:2016,03,24
photo by LIGHTDESIGN INC.

暦の上では・・・

こんにちは、東海林弘靖です。数日前は春分の日、ちょうどこのくらいの時期から夜よりも昼の時間が長くなって参ります。ところでこの「春分」という言葉なのですが、その昔、季節のズレを正し、季節を区分する手法のひとつとして作られた「二十四節気」で使われる言葉のひとつです。ここには24種類の季節の移り変わりを表す言葉があり、中でも3月の春分と9月の秋分は祝日になっているので日本人には慣れ親しんだ言葉です。他にも、夏至や冬至もニュースなどでよく使われ耳慣れた言葉でしょう。今回はそんな24の季節について考えてみたいと思います。



二十四節気のイメージ

24の季節を表す言葉は、旧暦の最初である2月4日あたりから始まります。まず始めが立春、2月19日頃が雨水、3月6日頃を啓蟄、それからまさに今の季節の春分、その後4月5日くらいを清明、4月20日からが穀雨とされており、この6つが四季で言う「春」のカテゴリーの言葉となります。

そして同じように夏を示す言葉が立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑とあり、その後の秋が立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降、そして最後に冬の立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒と続くのです。文字を見ると、何となくそれがいつくらいの何を示しているのかイメージしやすいものもありますし、わかりにくいものもあるのかもしれません。

例えば啓蟄 (けいちつ)は、冬眠をしていた虫が土の下出てくる頃という意味・・・と説明をされて初めてどのあたりの季節かがわかると思います。しかし、この二十四節気は旧暦に対応させたものですし、実際のところ、最近の異常気象やら、現代における季節感からは少しズレたものになってきている感覚もあったりします。



色で描く24シーズン

そこで、今回は今の感覚での二十四節気を考えてみました。言葉で・・・、と言いたいところですが、もう少し感覚的に捉えていただけるよう色で表現することにいたしました。それが上記の色鉛筆の写真です。

これは最近大人買いした72色の色鉛筆の中から、それぞれの季節をイメージする24色を抜き出して並べたものです。1年の始めが2月から始まる旧暦ではなく、現在使われているグレゴリオ暦、つまり1月を初めとして並べてあります。まずはお正月から始まり、2月の梅や桃の季節に続き、そしてサクラへと移り変わるイメージでピンクのグラデーションを並べてあります。そして初夏の新緑に変わることをグリーン系で、その後の夏は水のイメージでブルー系、それから秋のディープカラーへと深まってくるということで紫や濃紺としてみました。そして最後の冬ですが、旧暦の二十四節気だと寒さや雪を表現する言葉であるところを、いまの時代の感覚で街のイルミネーションが美しく輝きだすイメージの色を選びました。それがクリスマスカラーになって、その後のお正月にまた戻ってくるイメージです。



街の季節感

photo by Toshio Kaneko

実はこの色の提案は、来週3月31日にオープンする東急プラザ銀座(銀座5丁目)のファサードライティングで使われる色なのです。今までも施設のライティングで四季をコンセプトに色を変えるというものはありましたが、このように24期分を色のグラデーションで表現したのはこの施設が初めてです。

いままで、四季の中でたとえば秋は何色でしょう?と考えると、ある人は紅葉の赤、ある人はコスモスの色でしょうと、バラバラになりがちだったのですが、24シーズンをグラデーションで描いてみると、誰でも感覚的にブルーグリーンの光を見て、「・・・新緑の季節になってきたなぁ・・・」なんて皆さんに感じていただけるだろうと考えました。きっと日本人ならば何となく共有している季節感、色感があるのでしょう。

これが海外となると、夏と冬の2シーズンしかない国もありますし、あまり24シーズンといってもピンと来ないものがあるようです。こちらの24色、東急プラザ銀座のファサードであくまで品良くほんのりとした色合いで、夜に30分ごとに1回、3分間のカラーライティングとして表現されます。次回はこの施設の照明について、もう少し詳しくお話いたしますので、楽しみにしていてくださいませ。

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。




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