Vol.90|自然へのチャレンジ

オーストリア・チロルの自然に洗われて
投稿日:2016,01,14

ヨーロッパの旅より

明けましておめでとうございます。今年も、光のソムリエ・プルミエールでは、皆様に光にまつわるさまざまな話題を隔週でお届してまいります。どうぞブログをアップする隔週の木曜日を楽しみになさっていてくださいませ。

さて、2016年、新年は、新たな清々しい気持ちで仕事に打ち込みたいものですが、「清々しい」といえば、ちょうどそんな気持ちにさせてくれる体験をしてまいりましたので、今日はそのお話をご紹介したいと思います。

それは昨年末、ヨーロッパの照明事情の見聞を深めるため、工場視察ツアーを自ら企画したのですが、その最初の目的地オーストリア・インスブルックという都市での体験です。現地で一通りの視察を終えた後の休日に、人生初のロッククライミングに挑戦することとなりました。実は、自分からふとロッククライミングに挑戦しようと思ってやったわけではなく、かの地に住む友人に半ば強引に連れていかれた・・・といった具合だったのですが、これが思いもよらず非常に良い体験となったのです。

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Vol.89

“最上級空間”で感じたこと
投稿日:2015,12,25

話題のグランクラスを体験

今年は海外、国内を問わず、とにかく沢山の土地に赴く機会が多い一年でした。仕事で訪ねた中国の都市のほか、秋にはヨーロッパの照明器具メーカーを訪ねる旅をいたしました(この話は次回にお話しします!)。国内での旅は、真冬の札幌・定山渓に始まり、福岡、大阪、京都、広島、愛媛、岩手、金沢・・・を旅しました。しかし、その大半は旅というよりも仕事のための慌ただしい移動でありましたが、その中にも、少しだけ移動の方法に工夫を凝らして、楽しみ時間を用意しておりました。

それは京都の現場から金沢での「レクチュア」を経て、東京に戻る・・・というスケジュールをつくるときでした。京都で一泊して、早朝の京都駅から金沢行き特急サンダーバードに乗り込み、日本海沿いに金沢に入る・・・という少し情緒のある移動をしました。そして金沢で仕事をして、その晩中に東京へ戻ったのですが、金沢から東京へ戻る際は、この春開通してから話題の北陸新幹線「かがやき」の最上級シート「グランクラス」に乗ってみることにしたのです。

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Vol.88│100年間 待っていた照明

コラー!光るなー!
投稿日:2015,12,10
photo by Toshio Kaneko

京都の古民家改装プロジェクト

先月の始め、京都に「日日 Gallery Nichinichi」というギャラリーがオープンいたしました。在日30年、優れた日本の工芸品に心奪われたたエルマー・ヴァインマイヤーさんの主催されるギャラリーで、うつわや重箱など、日本各地の作家の手仕事による生活工芸品を独自の厳しい目でセレクトされています。今回ご縁あって、こちらのギャラリーの照明を担当させていただいたのですが、いままでの他の仕事とはちょっと異なるデザインのアプローチを楽しむことができました。その理由は、こちらのギャラリーの建物が100年以上前に作られた由緒正しき京都の民家だったからなのです。

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Vol.87│何でもかんでも光るとオシャレか?

コラー!光るなー!
投稿日:2015,11,26
photo by Ricky Romero

季節の風物詩も使い方を間違えれば・・・

街はクリスマスイルミネーションで賑やかな今日この頃、お家の中でもクリスマスツリーやオーナメント、イルミネーションライトを飾っているという方もいらっしゃるでしょう。普段とは違って、華やいだ雰囲気になる素敵な季節がやってきました。しかし、何でもかんでもキラキラと光らせたり、どこもかしこもライトアップする・・・という発想には眉をひそめてしまうくらいおかしいな!と思うのです。

寒い夜にキラキラやライトアップされて輝くオブジェクトは、一般には美しく心に染み入る光景なのですが、何もここまでやらなくともいいよね! そう、やりすぎているものや思いを伝えるコンセプトのないものには、思わず目をそむけたくなるのです。

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Vol.86│LEDのメンテナンスを考える

これからのメンテナンス
投稿日:2015,11,12
photo by Jeff Krause

ふと、気づいたら・・・

こんにちは、東海林弘靖です。本日はまず上の写真をよーく見てみてください。何か気づくことはないでしょうか?
 
・・・そう、天井にきれいに円を描いている電球のいくつかが切れているのです。今までの白熱電球が主流だった時代ならば、まあ当然、「ランプが切れちゃったのですね!いち早く取り換えましょう!」とごく普通のことで、すぐに脚立を用意して、電球を取り替えるという行為が日常茶飯事のことでした。では今日、寿命1000時間程度であった白熱電球から寿命の長いLEDに置き換わったので、もうこの面倒な電球交換に悩まされることはないのでしょうか?

一般住宅の照明であったら、確かにもうあまり電球交換に悩まされることはないでしょう。LED電球の寿命は4万時間です。一日の点灯時間は8時間だとすれば5000日、すなわち13.6年という計算になります。しかも、LEDの寿命の定義が「初期の明るさが70%に減衰するまでの時間」となっているので、13.5年過ぎた後でもまだまだ使い続けることができるのです。

しかし、照明デザイナーが手掛けるような大きな建築になってくると、一日の点灯時間がもっともっと長くなり、この話はまた別の問題を有することになるのです。本日はそんなLED時代の照明のメンテナンスについてお話したいと思います。

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Vol.85│照明デザイナーの塩梅

光と闇のバランスを決めるさじ加減
投稿日:2015,10,22
photo by Megane Callewaert

“塩梅(あんばい)”とは?

最近、「塩梅」という言葉をよく耳にします。さじ加減といいますか?調理の場合などでは、塩加減というのかもしれません。何か丁度良い分量を算定して実行するという意味に思えます。塩と梅という2つのワードからなるこの不思議な言葉が気になり語源を調べてみると、二つの説があることがわかりました。

ひとつは梅干しを漬ける際の塩加減で梅干しの良し悪しが違ってくるという説、また、もうひとつの説としては、昔まだ食酢がなかった時代に、梅干し作りの際に副産物として出てくる梅酢に塩を加えて調味料として使っていて、その味加減が良いものを塩梅と言ったという話もあります。いずれにせよ、微妙な加減が出来上がりを左右するということになりますが、照明デザインにもまさに同じことが言えます。

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Vol.84│発明王エジソンは生きている!

偉大なるエジソンの功績
投稿日:2015,10,08
ブロックハウス・エフロン百科事典(1890-1907年出版)より photo by Double-M

あの発明

このブログで度々話題に上り、照明を語るに欠かせないワードに、「白熱電球」があります。暖かで美しいスペクトルを発する光源として、19世紀からずっと私たちの生活を支えてきたこのランプは、いまや御役御免とばかりに姿を消そうとしています。偉大なる発明王エジソンの功績も21世紀となっては、新たな光源として登場したLED電球にその役割をバトンタッチしなければならないのです。

しかし、よくよく考えてみるとエジソンの功績は、まだまだ現役で活躍おり、これからもずーっと続いていくに違いない! そんなことに気が付いたのです。

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Vol.83│プロジェクタースポットが面白い

不思議な気配をつくる光
投稿日:2015,09,18
「座・高円寺」photo by Toshio Kaneko

夜の屋外イベントで話題と言えば

いま、夜を彩るイベントなどでひっぱりだこの存在のひとつに、「プロジェクションマッピング」があります。これはパソコンで作ったCG映像を建築物や空間に映し出す技術で、世界中で人気となっている光の演出です。 日本では、2012年に東京駅の駅舎で行ったものが話題になったほか、大阪城やディズニーランドといった大きな施設のイベントで使われたり、最近では街でのプロジェクションマッピングをテレビCMしたものも見られたりします。

この名前、「プロジェクション・・・」からもわかるように、これはスライドプロジェクタ-と言われた幻灯機の技術から展開されているのですが、プロジェクターという機器は強い光源とレンズ制御より、スクリーン上に映像や光を拡大して映し出すもので、照明機器でもあり、映像機器ともなる中間的な存在だと思っています。私も時折スペックするプロジェクターという照明器具、今日はその不思議な魅力を紐解いてみたいと思います。

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Vol.82│照明は、設備からサービスへ

電球の寿命が変えるもの
投稿日:2015,09,04
photo by CERTs

LEDがスタンダードになると・・・

このブログでは度々、消えゆく白熱電球の良さを振り返りつつ、それに迫るLED照明のクオリティ向上について繰り返し述べてまいりました。今やLEDは、照明用光源として標準的な存在となっているのが日本の現況ですが、「LEDは未だ発展途上の光源である」という私の考えは変わりません。それは、光のクオリティという点、ランプ寿命が長くなったことによるメンテナンスの考え方が揺らいでいる点、調光システムが複雑になっている点などがあるからです。

今日は、その中でも近い将来に電球および照明器具の「商品としての在り方」が大きく変わってくるのではないか?という私見を述べてみたいと思います。

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Vol.81│午前二時の悦楽

真夜中のすごし方
投稿日:2015,08,20
photo by Jeremy Brooks

草木も眠る?丑三つ時

皆さん、「午前二時」という時間にはどのようなイメージがあるでしょうか? 0時をまわってからさらに2時間も経過しているので、表現としてはディープナイトと言ったほうが良いかもしれません。昔風に言えば“丑三つ時”ですから、そんな時間に起きているのは魔物、ばけもの、はたまたドロボウか…というような相当深い時間帯です。しかし、現代はテレビの放送もやっているし、24時間営業の様々な業態の店舗もオープンしていることもあって、昔のような深い夜の時ではないかもしれません。

この午前二時という時間を振り返ってみると、私は今までそれぞれの年代でさまざまな過ごし方で楽しんでいることに気づきました。今日は、そんなディープな時間の私流過ごし方を振り返ってみたいと思います。

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。





Vol.81
Vol.81 午前二時の悦楽

Vol.82
Vol.82 照明は、設備からサービスへ

Vol.83
Vol.83 プロジェクタースポットが面白い

Vol.84
Vol.84 発明王エジソンは生きている!

Vol.85
Vol.85 照明デザイナーの塩梅

Vol.86
Vol.86 LEDのメンテナンスを考える

Vol.87
Vol.87 何でもかんでも光るとオシャレか?

Vol.88
Vol.88 100年間 待っていた照明

Vol.89
Vol.89 グランクラスは、美味しい照明で・・・

Vol.90
Vol.90 自然へのチャレンジ



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