Vol.141|照明のインフルエンサー?

プロの言葉よりも人に響く!
投稿日:2018,06.12
photo by LIGHTDESIGN INC.

インフルエンサーとは?

最近、“インフルエンサー”という言葉をよく耳にします。私は(恥ずかしながら)つい最近まで流行性感冒“インフルエンザ”のことだと思っておりました(笑)。英語のインフリューエンスInfluence=影響が語源なので、まあ間違えではないですが(汗)・・・インフルエンサーというのは影響を与える人ということになるようです。そういえば、人気アイドルグループの歌のタイトルになったりしていましたね!

この言葉、昔で言う、カリスマのことかな?と考えましたが、今の時代だと影響を与える人というのが、ブロガーやユーチューバーといった一般の人たちのようですから、昔のカリスマ性のあるスターとは、少し違うのかもしれません。そこで今回は私が最近感じたインフルエンサーな人についてお話ししたいと思います。



テレビ番組に招かれて

photo by LIGHTDESIGN INC.

「マツコの知らない世界」という番組にお招きいただいたときのことです。この番組は、タレントのマツコ・デラックスさんが進行役になり、ありとあらゆるジャンルをテーマにその道のプロの方、マニアの方をゲストに迎えて、そのテーマについて語るトークバラエティ番組です。私が呼ばれたときのテーマは、もちろん照明(タイトル:マツコの知らない照明の世界-2015年9月15日放送)でした。マツコ・デラックスさんのことは以前からテレビで拝見し、世の中をスパッと切る鋭い発言をしながらも不快感を与えずに展開させる方だなぁ・・・と思っておりました。

実際にお話ししてみると、世の中の事象に沢山の興味と知識そして常識を持っている方なのですね!そして、照明についても収録ののっけから「だいたい暗いのが好きなのよね・・・」とおっしゃったのです。お風呂なんかも、お風呂のライトは点けずに、ガラス越しの洗面所のライトだけで入浴するということを説明しますが、タレントさんなので話が上手で・・・、「時々シャンプーだかリンスだかわからなくなっちゃうの!」と言って笑いをとります。不便なんだけど、暗いほうが快適なんだと言ってくれたのは、横で聞いていていいこと言ってくれたなぁ! こういう人がこういう風に照明のことを語ってくれると社会も変わるにちがいない!と感じたのです。



マツコさんの言葉

プロとして私が今まで何度も、明るいだけが照明じゃない!暗いのが良いんだ!と論ずる言葉よりも、マツコさんのような方が、え~もう暗いほうが絶対いいわねっ!と言ったことによって、みんなが「あぁ、そうだよね!」と伝搬していくような気がしたのです。

そしてさらに、マツコさんの素晴らしいところは、手放しで褒めたりするのではないスタンスでしょう! これすごいよね~なかなか良いのよって言ってながら、でもねー!小っちゃすぎてどっかいっちゃうの!とか、マイナスのところもビシッと指摘しながら、その良さを強調する評論の仕方が一流です。メーカーの回し者的な感じは一切せず、むしろ、自分たちの代表として厳しい目で見ていることに信頼感が増していくのでしょう! このスタンスがテレビを視聴している老若男女に対して、非常に大きな影響を与える人だなと感じました。まさにインフルエンサーなのだろうと思います。

日本の照明文化を向上させるためには、照明業界以外から文化人のインフルエンサーの力をおかりしたい!と強く願う日々です。

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。




Vol.141
Vol.141 照明のインフルエンサー?

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Vol.142 恋する照明学

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Vol.143 夜の森を視る照明

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