今年も行ってまいりました!フランクフルトで2年に一度行われる国際照明・建築見本市「Light+Building(ライトアンドビルディング)」ですが、今年も3月に開催されました。私、今年も行ってまいりましたよ! ここに来れば、世界の照明関係者、とりわけ地球上の同時代に生きる照明大好き人間に会える貴重な機会でもあるのです。いわば、世界の照明業界のお祭りと言っても過言ではありません! さて、今年はいったいどんな照明技術に出あえるのでしょうか? そして明日の照明の傾向は・・・? 落ち着いた技術合戦例えば前々回2014年の開催時は、これからは有機EL(OLED)だ!と皆が騒いでおりました。OSRAM(オスラム)やPhilips(フィリップス)といった大手メーカーを筆頭に自社ブースでメイン展示として有機ELを一押ししていたのです。 でも今年は、あれほど皆が推していた有機ELはその地位を退いた感がありました。LEDテクノロジーに加えて、AIやIoTが融合した成長期に入ったのかもしれません。どのブースを回っても、ようやく意匠系の器具にも普通になったLED光源を咀嚼して自社製品として取り込むことができた・・・そんな印象を受けました。 展示やPR方法の変化日本などで行われている多くの見本市では各社が自分の技術を自慢する大会的な感じですが、今年のLight+Buildingの大きな傾向としては、自分たちの考え方やコンセプト、あるいはその製品を使うことによって生み出される価値、つまりユーザーエクスペリエンスを体験してもらう場にしようとしているものでした。 例えば、iGuzzini(イグッチーニ)というイタリアのメーカーは、「ライティングエクスペリエンス」という、まさにその名の通りの展示コーナーがブース内に設置されていました。これは、予約制の照明体験ツアーとなっていて、各回20分のツアーを20名で、トンネル状の暗い部屋の中で照明器具による効果を体験できるというプログラムです。これは音楽や映像を含めたストーリーのあるショーに仕上がっていて、何だかテーマパークでアトラクションを体験しているようにあっという間にあらゆる光たちと戯れていた・・・という感じでした。 このようなエクスペリエンス系展示は他にも印象的なものがありました。一つはPROLICHT(プロリヒト)というオーストリアの、比較的若い照明メーカーです。ここはほとんど照明器具を見せません。展示ブースの半分は密室のようになっており、招待状を持った人しか入れない奥座敷のようになっているのです。中に入ると、ちょっとした飲み物や軽食もあるサロン的な空間が広がっていて、そこで初めて照明器具と触れ合うことができます。 それは・・・、とても素敵にデザインされたリュックサックをプレゼントしてくれます。しかも、自分の好きな色にカスタマイズした上に、15分後には無料でもらえる!という企画なのです。 手順はこんな感じです。 私もしっかりとリュックをゲットして、会場内で宣伝に協力し、なかなか使い勝手も良いので気に入って持ち帰るわけなのですが、帰りのフランクフルト空港でこのバッグを持った人と8人とすれ違いお互いに「いいよね、これ!」みたいな目線をかわしたりいたしました。ところで、この会社はアルミニウムを原材料とした美しい照明器具をつくっているのですが、そのキャッチフレーズが“makes a difference” (おそらくスティーブ・ジョブスがアップルのスローガンとした“Think different”をリスペクトしているのでしょう!)なにかIT会社のような新しい感覚を感じました。 Viabizzuno のブースにて 最近は色んな情報がインターネットの普及で以前より簡単に流れていて、個別に顧客ともつながっていたりするので、展示会で頑張って発表するというよりも、どちらかというとオフ会みたいな感じにも見えました。「やあ、久しぶりー」と2年に1回こうやって親交を確かめるという雰囲気です。 いま、照明業界自体がテクノロジーオリエンテッドではなくなってきています。会場ではヒューマンセントリックという言葉も登場しながら、光で何ができるのかということに対する各社の考え方をプレゼンテーションする、もしくはリアルの世界で自分たちの顧客とどうつながっていくのか、また自社のポリシーを感じてもらうという、そういった目的のための展示会だった・・・というのが今回の大きな印象でした。
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