Vol.32│ニューヨーク、3つの出逢い

絵の具に見たLEDカラーの確立

投稿日:2014,02,20

 

スタジオに大きな箱が届いた!その中身は・・・?

1月の半ばごろでしょうか。LIGHTDESIGNのスタジオにものすごく大きな箱が届きました。いったい誰から何が送られてきたのだろう?と、不思議に思って、大きなその荷物の送り元を確認すると、遠くイタリアから送られてきたものだとわかりました。

早速、一辺が1ⅿもありそうな立方体の箱を開けてみると、その中にはたくさんの梱包材が入っており、それをさらにどけていくと綺麗な化粧箱が出てまいりました。化粧箱のほうも結構大きめでしたし、照明デザインの事務所に届く荷物ですから、きっと照明器具か何かだろうと思っておりました。そう思いながら開けてみてびっくり、「ワオーッ!」と嬉しい叫び声をあげずにはいられませんでした。さて、その中身とは・・・?



はるばる海を越えて


化粧箱に入っていたのは、イタリアのヴェネト州で生産された「アマローネ」という赤ワイン2本と2脚の大きなワイングラスのセットでした。実はこの荷物はイタリアの某照明メーカーが発送先となっていましたので、私は新しく開発された照明器具かと思って開封作業にいそしんでおりましたものですから、予想を裏切る嬉しさに「ワオー」を叫んでしまったというわけです。

予想が外れててがっかりすることは時々ありますが、その逆に嬉しい方向に裏切られることはあまりありません。そんな珍しい体験もさせていただいたわけです。そして、このギフトは本来クリスマスプレゼントとして発送されたようなのですが、何かの都合で約4週間ほど遅れての日本到着となったのでした。まぁ、逆にこれだけ遅れて届けられたクリスマスプレゼントって、オンタイムで届けられるよりも数倍嬉しいものだと初めて感じたりいたした次第です・・・。

ところで、話をもとに戻しましょう・・・では何故、イタリアの照明メーカーがワインを送ってきたのか?なのですが、実は昨年このブログに書いた「vol.38 キミは遊んでいるか?」と大いに関係があるのです。そのときのブログは、イタリアのとある照明メーカーの偉い方にイタリアワインが好きだと話したところ・・・じゃあイタリアに来てくれたら友人のワイナリーを案内するから、そのついでに照明のレクチャーを行って欲しいという話が持ち上がったことに起因し、昨年の6月に実際にイタリアを旅したという内容でした。このワインは、まさにその時案内していただいたワイナリーのものだったのです。




光のソムリエは、ようやくワインエキスパートに・・・

私が、自称“光のソムリエ”を名乗ってからはや7年となりました。ワインを飲むのが好きとはいえ、ソムリエと光をくっつけて「光のソムリエ」と呼ぶには、ずーっと何か後ろめたい思いがありました。そして、せめてワインの方もソムリエみたいな知識を持ち、利き酒ができるようになりたいと思うようになりました。

そこで数年前からこっそりと週末のワインの学校に通うようになり、昨年、ようやく日本ソムリエ協会の主催する検定試験に合格いたしました。私はワインおよびアルコール飲料を提供する飲食サービス業に従事している訳ではありませんので称号は「ワインエキスパート」と呼称する資格を頂きました。そんなこともあって、ようやく胸を張って“光のソムリエ”を名乗ることができるようになったのです。(すみません、個人的なお話で・・・)
ですから、いよいよ光のソムリエも、少しですがワインと光にまつわるお話をさせていただけるような立ち位置になったように思います。

では、なぜ私が光とワインを結び付けたいのか?それは、このようにお話させていただきたいのです。

光にまつわる表現力は、往々にして「明るい」⇔「暗い」の一軸で語られることが多いのですが、ワインの世界をひも解いてみると、その色調や香りそして味わい、余韻の長さなど、優れたワインを表現する素晴らしい体系が出来上がっていることに気が付きます。そのことに気が付いた光のソムリエは、これからワインの世界観で学ばせていただいた「言葉で伝える技術」を、光・照明においても大いに参考にさせていただきたいと思うのです。光の世界の奥深さは、ワインと同じかそれ以上に深いものがあると思っています。それは生まれた瞬間から死ぬまでの長きにわたって私たち人間は光りとの付き合いがあるのですから・・・。

さてと、今日はイタリアから送られてきた「アマローネ」を専用の大きなグラスで味わいながら、光の世界に思いを馳せることといたしましょう。

─ アマローネ Amarone ─

イタリアのヴェネト州ヴェローナ近郊で作られる辛口の赤ワイン。ブドウ品種は、コルヴィーナ・ヴェルネーゼ種、ロンディネッラ種、モリナーラ種などがブレンドされ、9月から10月にかけて完熟したブドウを手摘みで収穫し、半年くらい陰干しをしてある程度の水分を飛ばしてから醸造を始める製法で作られます。陰干しするため果実中の水分がなくなり、糖度が上がったところで醗酵させるので辛口かつアルコール度数が高めに仕上がります。さらに樽熟成を4〜6年行って、さらに瓶詰後1〜3年熟成の後、出荷されます。完成まで長い時間をかけるので、うまみ成分の強い高級なワインとして評価されているようです。冬の夜などにゆっくりと光のことを考えて味わうのにふさわしい赤ワインなのです。

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。





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