九州の城下町にて昨年の夏から秋にかけて、大分県竹田市のとある現場へ何度か足を運ぶ機会がありました。竹田市は、大分空港から車で2時間ほど九州山地に入ったところにあって、豊かな湧き水と共に、美しい城下町の街並みが広がっていました。 この町にある、かつてパーマ屋さんだった古い建物を友人のランドスケープデザイナーが生まれ変わらせる・・・エネルギーを極力使わない、これからの新しい暮らしの在り方を模索する研究拠点にする!というプロジェクトに感銘を受け、その照明デザインを担当することになったのです。初めてこの町を訪れ、散策していると、ある一軒家のお宅の玄関先にある非常に印象的な明かりと出逢うことができました。 懐かしい照明それは緑色のホーロー引きの傘がついたクリアの白熱電球が灯る門燈でした。私はそれを目にするや否や、なぜか急に子供のころにタイムスリップしてしまいました。 ・・・そこは、母の実家のある田舎町で、自宅へ帰るために路面電車の停留所へと歩いてゆく途中のシーン。電信柱についていたのも同じホーロー引きのセードの街灯でした。もう50年も前の記憶がここで蘇ったのですが、どちらも光としてはかよわい電燈なのでした。それでも夜の闇を背景にすれば、想像以上に心強く安心感を与えてくれる光景です。 何か懐かしい故郷に帰ってきたような不思議な感覚を覚えながら、それを見つめていると、その家の中から家主と思しき方が出ていらっしゃいました。「こんにちは、この街にお邪魔していますが、いいですね!この門燈は・・・」と話しかけてみました。すると、そこからホーロー引きの門燈論議が始まったのです。 実はこの頃、ちょうどNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」の密着取材中で、この時の門燈論議の様子も収録されています。放送は済んでしまいましたが、NHKオンデマンドでも見ることが出来ます。(2017年12月20日まで) 門燈の役割とは?ホーロー引きセードランプ(写真右上)を設置した様子
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