Vol.113|自分で作る心に響くあかり

上質な空間を手作りで
投稿日:2016,12.22
photo by LIGHTDESIGN INC.

手軽に入手できる照明部品

LED照明は、極端な熱を出さずに省エネでパワフルな光を発すること、そして長寿命であること、さらに最近は安価で気軽に購入できる器具も揃っていることから、ある程度の電気の知識があれば、容易に自宅で照明演出を楽しむことができるようになってまいりました。

写真は、スタジオの一角にある家具の中に私が照明を仕込んでみたものですが、こんなちょっとした工夫で単なる収納家具をワインバーのようなイメージに変貌させることができるのです。そこで今回は簡単に手に入るLED部品を使って、人がたくさん集まる季節にぴったりの照明レシピをご紹介したいと思います。



グラス棚を開けると・・・

photo by LIGHTDESIGN INC.

さて、もう一度写真をご覧ください。扉を開けると、沢山並んだグラスの奥で地平線のように照明が浮かび上がり、グラスのひとつひとつが光を映し出すという光景です。これはそういった棚を買ったわけではなく、ホームセンターやネットショップで売られているLEDライトを私が棚に仕込んで作り上げたものなのです。

ちなみにこの棚は、イケアで売られているPAXというシステム収納シリーズなのですが、グラスを乗せる棚を特別に作っていただきました。そして、その棚の一番奥にライン状の照明をセットしてあるのです。光源が直接見えないようにアルミのLアングルを使って目隠しをしています・・・これがとても大切です。目隠し板がないと、光源が眩しすぎてこのようなデリケートな光のグラデーションが楽しめないのです。心に響く光をつくるためには、こんなちょっとした工夫が不可欠なのですね!

photo by LIGHTDESIGN INC.

ここでミソとなるのが、LEDライトを壁に近づけすぎないことです。近すぎると壁に反射した光が上に伸びないので、ここでは1.5センチ程度壁から離したところに設置して光がきれいに浮かび上がるようにしています。さらに、電気の心得がある方ならば、ドアを開けるとライトが点く仕掛けにするのもおすすめです。電気屋さんなどで売っている「マグネリミット」というドアスイッチのパーツを使えば簡単に自動点灯・消灯システムにできます。

 



美しい光のバランス

グラス棚照明レシピ のスケッチ (C) Hiroyasu Shoji

このレシピはガラスの透明感を活かして照明のリフレクション効果で華やかに見せようというものです。写真からもわかる通り、実際にやってみるとグラスのひとつひとつに小さなLEDの光源が映り込んでいます。グラスというのはガラスが均一の厚さなのではなく、薄いところと厚いところがあってレンズのような効果がその煌めきを倍増させています。
 
ところで、いつも問題となるのが、照明の色温度です。ガラスのような透明感がある冷たい印象のものは、色温度の高い白っぽいものが良いのでは?と考える人もいるのですが、ここでは住宅やサロンのような人が和む空間ということで、色温度が低い照明でラグジュアリーな感じを重視していただきたいのです。

何とか昼間のうちに作業を完了させて、部屋の主照明も消して、薄暮の時間を待てば、グラス照明がフッと浮かび上がり、この季節にふさわしく、華やかで上質な時間が過ごせると思います。並べるグラスは基本的にどんなグラスでも良いのですが、おすすめは、何といってもクリスタルグラスです。クリスタルは透明度が高く、光の色味にも変化がなく心に染み入るピュアな表情を見せるのです。ワインやお酒を入れても、その色味がとてもナチュラルに見えてきます。
 
いよいよホリデイシーズンですが、この照明レシピを実行して、クリスマスやお正月の心温まるひとときを過ごしていただければ幸いです。

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。




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Vol.113 自分で作る心に響くあかり

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